今日はHPLCを使用するときにやりがちなミスをご紹介したいと思います。
- ・移動相の混合比率を逆にする
- ・移動相を混合していない
- ・グラジエント測定の際、移動相を取り付けるラインを間違える
- ・移動相取り付けの際にラインに空気を噛ませてしまう
- ・移動相を枯らしてしまう
- ・移動相調製の際によく似た試薬を取り違える
- ・洗浄溶媒の追加忘れ、交換し忘れ
- ・廃液タンクを溢れさせてしまう
・移動相の混合比率を逆にする
移動相は水系と溶媒系の混合液を使用することが多いと思いますが、こちらの混合比を逆にするというミスです。
溶媒比率が異なると保持時間が狂いますので、ピークの保持時間が遅くなったり早くなったりします。
ピーク位置がかなりずれるので、クロマとを見たときにすぐ気づくことが多いです。調製が面倒な移動相だとショックは大きいです。
・移動相を混合していない
ピーク検出位置が普段と異なり、測定ごとにピーク位置がズレる場合は移動相がきちんと混合されていない可能性があります。
きちんと混ざっていない場合は移動相を揺らすと溶媒の境目がもやもやとなりますので確認してみると良いでしょう。
混合は全ての実験操作の基本とも言えるものなので、やってしまった時はかなり恥ずかしかったです。
・グラジエント測定の際、移動相を取り付けるラインを間違える
グラジエント測定では複数の送液ラインに正しく移動相を接続する必要があります。
接続を誤った場合、正しい溶媒比率にならず、この場合も当然保持時間が狂ってしまいます。
また、水系と溶媒系それぞれ100%の溶媒を使用する場合、グラジエントプログラムの組み方によってはカラムや装置に悪影響を与えてしまう場合も考えられますので、注意が必要です。
・移動相取り付けの際にラインに空気を噛ませてしまう
移動相をラインに取り付ける際はどうしてもラインに空気が入りやすいです。空気抜きの操作を必ず行うようにしましょう。ラインに空気が噛んでしまうと、ピーク面積の再現性が悪くなるなどのトラブルのもとになります。
・移動相を枯らしてしまう
移動相の使用量の計算を誤り、途中で移動相がなくなってしまったり、測定終了後、自動停止のプログラムを設定し忘れて、翌日来てみたら移動相がなくなってしまったりすることがあると思います。
最近の装置は移動相がなくなると自動で送液停止してくれる機能があるものが多いと思いますが、古い装置を使用していると移動相がなくなってもポンプが動き続けてしまうものもあります。
カラムに悪影響を及ぼしますので注意しましょう。
・移動相調製の際によく似た試薬を取り違える
例えば、リン酸二水素ナトリウムやリン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウムなど、緩衝液に使用する塩は似た名前の場合が多いので、なんの気無しに持ってくると間違っていることもあると思います。
特によく使用している塩とよく似た名前の塩をたまに使用する場合などは、習慣でいつもの塩を使用してしまうこともあるかと思いますので要注意です。
・洗浄溶媒の追加忘れ、交換し忘れ
移動相は測定前に調製したり、残量の確認は怠らないようにしたりすると思いますが、洗浄用溶媒については、前の測定から装置に設置されているものをそのまま使用することもあるかと思います。また、複数人で装置を使用していた場合、自分が想定していた洗浄溶媒ではない溶媒が設置されていることもあり得ます。
洗浄用溶媒の残量を確認せずに使用し、途中で液がなくなっていたり、正しい洗浄用溶媒が設置されていない場合、注入試料がキャリーオーバーし、次の測定に影響を与えてしまいます。
・廃液タンクを溢れさせてしまう
これは私は何度も経験があります。測定結果自体には影響はありませんが、周りの人に迷惑をかけます。特に体に悪い溶媒や匂いのきつい溶媒を使用する際は特に注意しましょう。
測定後には必ず廃液は捨てるようにしたほうが良いですね。