本記事にはアフィリエイトリンクを含みます。
分析化学を勉強しようと思っても、
「分析化学の本が多くて、どれを選べばよいかわからない」
「大学の教科書は難しそう」
「化学分析と機器分析の違いがよくわからない」
「仕事で分析を担当することになったので、実務に役立つ本を探している」
と迷うことがあるのではないでしょうか。
分析化学の本には、滴定や化学平衡を中心に扱うもの、HPLCや分光分析などの機器分析を扱うもの、試料調製や器具の使い方を重視したものがあります。
そのため、「初心者向け」と書かれている本でも、目的によって合う本は異なります。
今回は、分析化学の初学者におすすめしたい本を6冊紹介します。
有機化学、物理化学、製剤学などの専門書は含めず、化学分析または機器分析を体系的に学べる本に限定しました。
分析化学は大きく分けて「化学分析」と「機器分析」がある
書籍を選ぶ前に、分析化学の分野を簡単に整理しておきます。
化学分析は、主に化学反応や化学平衡を利用して物質を調べる方法です。
代表的な内容には、次のようなものがあります。
・酸塩基滴定
・酸化還元滴定
・キレート滴定
・沈殿滴定
・重量分析
・溶媒抽出
・化学平衡
一方、機器分析は、光、電気、質量、物質の分離などを利用して測定する方法です。
代表的な内容は次のとおりです。
・紫外可視分光法
・赤外分光法
・原子吸光分析
・ICP発光分析
・質量分析
・電気化学分析
・ガスクロマトグラフィー
・液体クロマトグラフィー
機器分析には物理学や物理化学の知識も関係しますが、物質の定性・定量を目的としているため、分析化学の一分野です。
この記事では、化学分析と機器分析の両方を対象としています。
先に結論|目的別に選ぶならこの本
分析化学の全体像をつかみたい
→『図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 』
仕事で分析を始める
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
化学分析の原理から学びたい
→『ステップアップ 大学の分析化学』
滴定や化学平衡を体系的に学びたい
→『基礎から学ぶ分析化学』
機器分析を詳しく学びたい
→『基礎から学ぶ機器分析化学』
器具、前処理、データ整理を学びたい
→『分析化学の基本操作』
最初から6冊すべてを読む必要はありません。
まず全体像を学べる本を1冊選び、その後、化学分析・機器分析・実験操作のうち、自分に必要な分野へ進むのがおすすめです。
1.図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み
最初に紹介するのは、『図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 』です。
分析化学の全体像を広く知りたい人に、最初の一冊としておすすめできます。
本書では、分析化学の基本だけでなく、
・試薬や実験器具
・試料採取と前処理
・滴定などの基礎的な定量法
・分光分析
・X線分析
・質量分析
・クロマトグラフィー
・電気化学分析
・データ処理と妥当性確認
・ラボでの安全管理
などが幅広く取り上げられています。
図解が多いため、大学の教科書を最初から読むのが難しいと感じる人にも比較的入りやすい本です。
2025年に刊行された第3版では、DNA分析、抗原検査、分析法の妥当性確認なども扱われています。
一つひとつの分析法を深く学ぶというより、「分析化学にはどのような分野があるのか」をつかむための本と考えるとよいでしょう。
こんな人におすすめ
・分析化学を初めて学ぶ人
・分析化学の全体像を知りたい人
・図解の多い本を読みたい人
・仕事で化学分析を担当することになった人
2.すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務
仕事で分析を始める人におすすめしたいのが、『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』です。
分析化学の教科書は、化学平衡、計算、分析原理などの説明が中心になりやすい傾向があります。
一方、本書は理論の説明を必要最小限にしながら、
・分析業務の進め方
・試料採取と前処理
・分析方法の選び方
・分析機器の特徴
・分析結果の見方
・記録の作成
など、実際の分析業務を意識して解説しています。
分析では、装置の操作方法を覚えるだけでは十分ではありません。
試料の採取、秤量、希釈、前処理、測定、データ処理、記録までの一連の作業が、分析結果の信頼性に影響します。
大学で分析化学を勉強した人でも、仕事として分析を行うのが初めてであれば参考になる内容です。
こんな人におすすめ
・企業の分析部門に配属された人
・品質管理や研究開発で分析を担当する人
・理論より先に実務の流れを知りたい人
・試料調製や分析記録について学びたい人
3.ステップアップ 大学の分析化学
分析化学の原理を基礎から学びたい人には、『ステップアップ 大学の分析化学』がおすすめです。
本書では、
・溶解と濃度
・化学平衡
・酸と塩基
・容量分析
・重量分析
・酸化還元分析
・錯体生成分析
・電気化学分析
・分光分析
・クロマトグラフィー
などが扱われています。
大学生向けの教科書ですが、比較的コンパクトにまとめられており、分析化学の基礎を順番に学べる構成です。
各単元には演習問題もあるため、読んだ内容を理解できているか確認しながら進められます。
ただし、まったく化学を学んだことがない人には、濃度計算や化学平衡の部分が少し難しく感じられるかもしれません。
高校化学の基礎を理解しており、分析法を原理から学びたい人に向いています。
こんな人におすすめ
・化学系の大学生
・分析化学の原理を学び直したい社会人
・化学平衡や滴定から勉強したい人
・演習問題にも取り組みたい人
- 価格: 2640 円
- 楽天で詳細を見る
4.基礎から学ぶ分析化学
滴定や溶液内の化学平衡を体系的に学びたい人には、『基礎から学ぶ分析化学』がおすすめです。
本書が主に扱っているのは、機器分析ではなく、化学分析の基礎です。
内容には、
・定性分析と定量分析
・重量分析
・容量分析
・溶液内化学平衡
・酸塩基平衡とpH滴定
・錯形成平衡とキレート滴定
・酸化還元平衡
・沈殿滴定
・溶媒抽出
・固相抽出
などがあります。
例題や演習問題も用意されているため、計算しながら分析化学を学びたい人に向いています。
一方、HPLC、GC、分光分析などの機器分析を中心に勉強したい人には、この本だけでは不足します。
その場合は、姉妹書の『基礎から学ぶ機器分析化学』と組み合わせるとよいでしょう。
こんな人におすすめ
・化学分析の基礎を体系的に学びたい人
・滴定や化学平衡を理解したい人
・計算問題にも取り組みたい人
・機器分析を学ぶ前に基礎を固めたい人
- 価格: 2860 円
- 楽天で詳細を見る
5.基礎から学ぶ機器分析化学
HPLCや分光分析などの機器分析を中心に学びたい人には、『基礎から学ぶ機器分析化学』がおすすめです。
本書では、
・電気化学分析
・原子スペクトル分析
・吸光分析、蛍光分析
・赤外、ラマン分光分析
・X線分析
・質量分析
・ガスクロマトグラフィー
・高速液体クロマトグラフィー
・電気泳動分析
などが扱われています。
装置の操作方法だけを並べるのではなく、それぞれの分析法がどのような原理で測定しているのかを説明している点が特徴です。
機器分析には、光、電気、電磁波などの知識が関係します。
そのため、内容の一部は物理的に見えるかもしれませんが、物質の定性・定量を目的とした機器分析化学の本であり、今回の記事の対象に合っています。
機器ごとの細かなトラブル対応よりも、まず原理を体系的に理解したい人に向いています。
こんな人におすすめ
・機器分析を基礎から学びたい人
・HPLC、GC、分光分析などを担当する人
・装置を操作するだけでなく原理も理解したい人
・複数の分析機器を比較して学びたい人
[rakuten:book:17798777:detail]
HPLCを重点的に学びたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
HPLC初心者におすすめの本5選
https://semiritasan.hatenablog.com/entry/2026/09/05/131033
6.分析化学の基本操作―器具選び・試料処理・データ整理
分析機器の原理よりも、実際の分析操作を学びたい人には、『分析化学の基本操作―器具選び・試料処理・データ整理』がおすすめです。
本書では、
・分析で使用する器具の選び方
・試料の採取と秤量
・粉砕や乾燥
・溶解やろ過
・試料の前処理
・有効数字
・検出限界と定量下限
・不確かさ
・分析結果の整理
などが扱われています。
分析結果は、測定装置の性能だけで決まるものではありません。
どの部分を試料として採取するか、どの器具を使うか、どのように溶解・希釈するかによっても結果が変わります。
特に分析業務を始めたばかりの人は、測定装置に注目しがちですが、試料調製や基本操作も同じくらい重要です。
本書は主として無機分析の試料処理を扱っているため、有機化合物や医薬品分析だけを詳しく学びたい人は、扱う試料との違いに注意が必要です。
それでも、器具、前処理、データ整理に関する基本的な考え方は、さまざまな分析業務で参考になります。
こんな人におすすめ
・実験器具の選び方を学びたい人
・試料調製や前処理を担当する人
・分析結果の整理方法を学びたい人
・装置測定前後の操作を重視したい人
[rakuten:book:21310221:detail]
迷ったときのおすすめの読み方
分析化学を初めて学ぶ場合、最初から専門的な教科書を何冊も読む必要はありません。
おすすめの順番は次のとおりです。
まず全体像を知る
『図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第3版』
次に目的に合わせて選ぶ
仕事で分析を始める
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
滴定や化学平衡を学ぶ
→『ステップアップ 大学の分析化学』
→『基礎から学ぶ分析化学』
機器分析を学ぶ
→『基礎から学ぶ機器分析化学』
器具や前処理を学ぶ
→『分析化学の基本操作』
さらにHPLCなど、特定の分析法を担当することになったら、その分析法に特化した専門書へ進むとよいでしょう。
初心者がいきなり専門書を選ぶときの注意点
分析化学の専門書には、非常に詳しい本もあります。
しかし、最初から分厚い専門書を選ぶと、数式や専門用語が多く、途中で読まなくなる可能性があります。
初心者が本を選ぶときは、次の点を確認してみてください。
・化学分析と機器分析のどちらが中心か
・大学の教科書か、実務者向けか
・分析法の原理と操作のどちらを重視しているか
・演習問題が必要か
・自分が扱う試料や機器と合っているか
「初心者向け」という表示だけではなく、自分が何を学びたいのかを決めてから選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、分析化学の初学者におすすめの本を6冊紹介しました。
全体像を図解で学ぶ
→『図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第3版』
分析実務の流れを学ぶ
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
原理をコンパクトに学ぶ
→『ステップアップ 大学の分析化学』
滴定や化学平衡を体系的に学ぶ
→『基礎から学ぶ分析化学』
分光法やクロマトグラフィーを学ぶ
→『基礎から学ぶ機器分析化学』
器具、前処理、データ整理を学ぶ
→『分析化学の基本操作』
最初の一冊として選ぶなら、『図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み 第3版』が入りやすいと思います。
仕事で分析を担当する人は、『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』も有力な候補です。
その後、自分が担当する業務に合わせて、化学分析、機器分析、基本操作の専門書へ進んでみてください。
![図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み[第3版] (How-nual visual guide book) 図解入門 よくわかる最新分析化学の基本と仕組み[第3版] (How-nual visual guide book)](https://m.media-amazon.com/images/I/51VDWFcBNPL._SL500_.jpg)















