今日はGCにおけるゴーストピークについてまとめてみました。
HPLCのゴーストピークについては過去にまとめましたので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
原因は
・注入口の汚染
高沸点の成分を測定した際などに、その成分が注入口に汚れとして残ってしまい、測定の際に影響を及ぼすことがあります。
・注入用シリンジの汚染
GCの注入の多くはシリンジで行われますが、このシリンジが汚染していた場合、その汚染物質のピークが出てしまうことになります。
・カラムに残存した不純物
カラム内に汚染があった場合、その汚染物質がピークとして現れます。特に、段階的に温度をあげていく昇温分析を行う場合、低温では出てこなかった成分が高温になった際にピークとして現れることもあります。
対策は
・注入口の汚染
簡単な汚れでしたら、分析温度よりも高い温度をかけることで、洗浄されます。測定前に注入口部分もしっかりと熱をかけてベースラインが綺麗になったことを確認してから測定の臨むと良いです。
注入口にはセプタムやインサートライナー等の交換部品がありますので、これらの部品の交換も行いましょう。
・注入用シリンジの汚染
測定を始める前に、しっかりと洗浄する必要があります。洗浄の際に、測定試料と異なる溶媒で洗ってしまった場合は、その溶媒のピークが出てしまうことがありますので、最後は試料と同じ溶媒で洗浄するようにしましょう。
オートサンプラー付きの装置には自動洗浄機能がついていますので、洗浄回数などの最適化も必要です。
洗浄が面倒な場合は思い切って新しいシリンジと交換しても良いと思います。
・カラムに残存した不純物
カラムも使用する前にしっかりと熱をかけて不純物の焼きだしを行います。カラムには使用最高温度が記載されていますので、その温度を超えないように注意する必要があります。
目的ピークが検出された後にカラムの温度を上げる等、測定条件自体に焼き出しの設定を組み込むのも有効な手段かと思います。
また、キャピラリーカラムの場合は、カラム先端部分をカットしてしまうのも一つの手です。数十センチは切ってしまっても良いので、思い切ってカットしてみても良いです。
注入口側の方が汚れの影響を受けやすいので、通常注入口側をカットします。
まとめ
高沸点成分の分析を行なった後はキャリーオーバーが多いように思います。測定前後にしっかりと熱をかけて不純物の焼き出しを行うことが重要だと思います。
また、注入用のシリンジについては、それほど高いものでもありませんし、専用化してしまうのも一つの手かと思います。
今回は試料を液体の状態で注入する方法についてお話ししましたが、試料を加熱して気化した成分を注入するヘッドスペース注入法という手法もあります。この手法の場合、GCには気体のみが導入されることとなりますので、汚染は発生しにくいです。
分析法を変更することができるなら、検討してみても良いかと思います。
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