HPLCでピークが検出されないトラブルについてまとめてみました。
ピークが検出されない場合は以下のようなパターンに分類できるかと思います。
ピークが全く検出されない
・検出器の不具合
検出器に何らかの成分が流れた場合、通常何かしらピークは検出されるはずです。
ピークが全く検出されない場合、検出器に不具合がある場合や、検出器まで試料が移行できていない可能性などが考えられます。
検出器に不具合がある場合はベースラインに何かの異常のサインがみられると思いますので、拡大して確認してみましょう。ベースラインが綺麗なように見えても、検出器が死んでいるだけの可能性もあります。
・送液の不具合
そもそも検出器まで試料が流れていない場合もピークは出ませんので、検出器までのラインも確認すると良いと思います。
1台の装置に複数の検出器をつけていて、ラインを分岐させることで使い分ける場合、ラインを繋ぎ間違えている可能性もあるかもしれません。
ラインの途中で液漏れが発生しているような場合ですと、大抵の装置では圧力異常のエラーが出ると思いますので、そこで気付けると思います。
ピークが出ない場合で、検出器も正常で送液も正常な場合、設定した測定時間内にピークが溶出していない可能性もあるかと思います。その場合は、ピークが全く出ないというよりは検出位置がずれている症状になりますので、次の項でご説明します。
・試料の問題
試料の調製に何らかの問題がある場合もあります。インジェクションショックが出るにもかかわらず、目的のピークが出ないような場合は、試料の作り直しをしてみると良いと思います。
また、私もやったことがあるのですが、バイアルに試料を入れずに測定を開始してしまったことがあります。この場合、僅かではありますが、エアーが系内に入ることになりますので、念の為、パージなどを行ったほうが良いと思います。
検出されるはずの位置とは違う位置に検出される。
本来検出される位置に検出されないということは、目的成分の保持に異常が発生していると考えられます。
・カラムの不具合
例えば、使用するカラムを誤った場合は目的成分に対する保持力が変わりますので、当然ピーク検出位置もずれることとなります。
まずはつけているカラムが正しいかどうか確認しましょう。
また、正しいカラムをつけていたとしてもカラムが劣化していた場合は正常にピークを分離できません。
カラムが劣化していた場合、ピーク形状にも異常が見られるかと思いますので、合わせて確認すると良いと思います。
同タイプのカラムがある場合は付け替えてみましょう。
・移動相の不具合
移動相はカラムとともに試料成分の保持に関与しますので、移動相の組成を誤った場合はピークの保持に影響を与えます。
移動相を作り直してみたら問題が解消されることも多いかと思います。
調製が簡単にできる移動相でしたらさっと作り替えるのも良いと思います。
・送液の不具合
送液のトラブルにより、移動相の流量に影響が出たような場合、ピークの検出位置がずれることになります。多くは圧力異常を伴いますので、使用前に圧力については普段と同様か確認するようにしましょう。
・試料の不具合
そもそも試料の調製に誤りがある可能性もあります。装置に全く不具合が見られない場合は試料を調製し直してみましょう。
目的成分の標準物質を持っているようでしたらそれを注入してみるのも良いと思います。
どんなトラブルもまずは状況確認が重要だと思います。
状況を確認する中で、関係していそうな箇所の特定を進めていきましょう。
以下の本にもトラブルに対する対応などが記載されています。
経験も重要ですが、事前に知識を得ておけば、トラブルに会ったときに対応が早くなると思います。