X線回折測定法について解説したいと思います。
X線回折測定とは
試料に様々な角度からX線を照射し、回折したX線を検出し、回折パターンから試料の性質を測定する手法のことです。
原理は
物質にX線を照射すると、その物質の電子が振動し、X線が散乱します。散乱したX線は特定の角度で強めあう回折現象を起こします。X線の照射角度を変化させながら、回折強度を測定することで、対象物の情報を得ることが可能となります。
用途は
測定対象の結晶構造についての情報を得ることができ、結晶多形を判別できますので、定性分析や構造解析に使用されます。
また、データベース上の情報を利用することで、対象とする結晶の定量分析も行うことが可能です。
X線回折のコツ
粉末の測定を行う場合は、必要に応じて試料を粉砕しましょう。配向性を持つ結晶の場合は、調製した試料の状態によってピークの強度比が変わり、再現性の良いデータが取りにくいことがあります。
多くの装置は試料を試料ホルダーの窪みに充填することとなりますが、この際、表面が平らになっていない場合は、X線が均等に試料に当たらないため、強度や検出角度に影響を与えてしまいますので、しっかり平坦になるように充填しましょう。
また、X線の照射方式が集中法の場合、試料充填表面の高さが規定の高さからズレると、検出の際の角度がずれてしまいますので、一定の高さになるように充填する必要があります。平行ビーム法の場合は測定面の位置のずれに影響を受けにくくなります。
思っていたようにピークの強度が得られなかった場合は、スキャン速度を低速にすると高い強度が得られます。
各種スリットについては、基本的に幅の広いものの方が強度を得られやすいですが、その分ノイズも大きくなるので、最適なものを選びましょう。
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