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ガスクロマトグラフィ◇ヘッドスペース分析とは◇原理は◇メリットは◇デメリットは

今日はガスクロマトグラフィのヘッドスペース分析についてまとめたいと思います。

ガスクロ自由自在Q&A 準備・試料導入編

 

 

ヘッドスペース分析とは

ヘッドスペース分析とは、ガスクロマトグラフィの注入手法の一つで、密閉したバイアルに試料を封入し、バイアルを加熱して気化した気相成分をGCに導入する方法です。

バイアルは密閉されていますので、ある程度気化が進むと、試料液からの気化と揮発した成分が試料液に戻る分とが平衡し、気液平衡状態になります。この平衡状態となった際の気相部分をGCに導入します。一般に温度が高い方が早く平衡状態に達します。

使用する溶媒に溶けやすい成分は気相に移行しにくいため塩を添加し、塩析効果により気相への以降を補助する手法もあります。

 

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メリットは

GCの汚染を低減できる。

 導入されるのが気相成分のみなので、液体試料をGCに導入する手法に比べ、GCへの汚染はかなり少ないことになります。

 使用した溶媒のピークは当然出てしまいますが、液体試料の注入に比べると比較的小さく、目的のピークの検出が妨害される可能性も小さくなります。

 気体の状態で試料が注入されるため、装置やカラムへのダメージを低減することができます。

・溶解しない成分があっても無視できる。

 不溶成分が含まれている試料の場合、前処理として濾過などが必要となりますが、ヘッドスペース分析の場合は、揮発性成分のみ(バイアルの気相部分のみ)測定できるので、不溶成分を取り除かなくても測定を行うことができます。

・試料調製が簡単な場合が多い。

 上でも記載しましたが、液体試料の注入の場合、濾過などの前処理が必要な場合がありますが、ヘッドスペース法の場合ですと、試料と溶媒をバイアルにいれ、密閉するだけで分析が可能ですので、試料調製が簡単な場合が多いです。

 

デメリットは

・試料封入時の環境に影響を受ける。

 バイアルへの試料封入の際に、周囲の雰囲気も封入されてしまうため、封入時の環境に含まれる成分もGCに導入されてしまいます。

 測定対象成分と同様の検出挙動を示す成分が含まれていた場合は妨害要因になってしまうことがあります。

 試料調製やバイアル封入時はその他の溶媒を使用していない場所で行うと良いと思います。

 予期せぬピークが確認された場合は、試料の封入を行った雰囲気のみをバイアルに封入してブランク測定を行ってみても良いと思います。

・同一バイアルの複数回注入はできない。

 厳密には複数回注入ができないというわけではないのですが、試料を加熱気化させるため、注入時に試料が変化する可能性があります。また、密閉バイアルを使用する必要がありますので、一度注入時にバイアルのセプタムに穴を開けてしまうと、気密性が維持できません。測定対象によっては複数回注入しても同様の結果が得られる場合もあるかもしれませんが、一回きりが基本かと思います。

・バイアルの加熱が必要なため、分析に時間がかかる場合がある。

GCへの試料導入までにバイアル内を気液平衡状態まで加熱する工程があるため、液体試料の注入に比べて、分析に時間を要する場合があります。

ただし、連続分析を行う場合は、一つの試料をカラムへ導入して分析している間に次の試料のバイアルの平衡化を進めるようなタイムプログラムを組めますので、複数検体を分析する場合はそれほど影響を受けない場合もあります。

また、試料調製が簡単な場合もありますので、総合的に見るとそこまでその他の分析法と差は出ないかもしれません。

・追加の装置を購入する必要がある。

 通常ヘッドスペース用の装置はオプションとなっていることが多いので、追加購入する必要があります。

 また、バイアル、キャップも専用のもので、バイアルキャップを閉めるのに専用の治具が必要な場合もあります。

 

注意点

 基本的に気相と液相が平衡状態になっていれば再現性よく結果が得られるかと思いますが、バイアルの加熱温度が低かったり、加熱時間が短かったりする場合は十分に気液平衡状態に達しないため、再現性に影響が出ることがあります。バイアルの加熱は十分いおこないましょう。

 

追加の装置の購入は必要にはなりますが、調製が簡便であったり、装置やカラムへの汚染も少ないですし、慣れてしまえばかなり使い勝手いの良い注入法かと思います。

 

おすすめの本

以下の本にはヘッドスペース注入方についても紹介されていますので、興味のある方はぜひ購入してみてください。

 

 

 

 

 

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