HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を仕事で使うことになったものの、
「何から勉強すればいいのかわからない」
「HPLCの本はたくさんあるけれど、どれを読めばいい?」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
HPLCは、実際に装置を操作するだけなら手順書に沿って進めることもできます。
しかし、
● なぜこの移動相を使うのか
● なぜピークが分離するのか
● なぜ圧力が上昇するのか
● なぜゴーストピークが出るのか
● システム適合性をなぜ確認するのか
といったことを理解しようとすると、原理や装置についての基礎知識が必要になります。
特に製薬会社などで分析業務に携わる場合、「測定できる」だけでなく、異常が起きたときに原因を考えられることが重要です。
そこで今回は、HPLCをこれから勉強する人から、実際に分析業務を担当している人まで役立つ本を5冊紹介します。
1.液体クロマトグラフィーを使いこなす―その基礎と計算力―
最初におすすめしたいのが、
『液体クロマトグラフィーを使いこなす―その基礎と計算力―』
です。
HPLCを単に操作するのではなく、クロマトグラフィーの原理から理解したい人に向いています。
HPLCを始めたばかりのころは、
「保持時間」
「理論段数」
「分離度」
「保持係数」
など、聞き慣れない言葉が一気に出てきます。
これらを丸暗記するよりも、クロマトグラフィーで何が起きているのかを理解しておくと、その後の実務がかなりわかりやすくなります。
特に、
「HPLCを使っているけれど、原理をうまく説明できない」
という人が基礎を整理するのに適した一冊です。
こんな人におすすめ
● 初めてHPLCを担当する人
● クロマトグラフィーの原理から勉強したい人
● 理論段数や分離度などの意味を理解したい人
2.液クロ虎の巻―誰にも聞けなかったHPLC Q&A―
次におすすめなのが、
『液クロ虎の巻―誰にも聞けなかったHPLC Q&A―』
です。
日本分析化学会の液体クロマトグラフィー研究懇談会による書籍で、HPLCについての疑問をQ&A形式で解説しています。
内容は、
● HPLCの基礎と理論
● カラム
● 移動相
● 検出・定量
● データ処理
● HPLC装置
● 前処理
など幅広く、実際にHPLCを使用していると疑問に感じやすいポイントが扱われています。
HPLCでは、教科書を最初から最後まで読むより、
「これってなぜ?」
と思ったタイミングで調べることで理解が深まることもあります。
その意味で、手元に置いておいて辞書のように使える本です。
少し古い本ではありますが、クロマトグラフィーの基本的な考え方を理解するという点では現在でも参考になります。
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こんな人におすすめ
● HPLCを実際に操作し始めた人
● 日々の分析で生じる疑問を解決したい人
● 手元に置いて必要なところだけ調べたい人
3.液クロを上手につかうコツ―誰も教えてくれないノウハウ―
HPLCの基本操作を覚えてきたら、
『液クロを上手につかうコツ―誰も教えてくれないノウハウ―』
もおすすめです。
HPLCでは、手順書だけではなかなか身につかない「ちょっとしたコツ」があります。
例えば、
● 移動相の調製
● カラムの取り扱い
● 装置の扱い
● 分析条件の考え方
● トラブルへの対応
などです。
実務では、このような知識の差が分析の安定性に影響することがあります。
先輩から経験的に教えてもらうことも多い部分ですが、それらを体系的に学べるのがこの本の良いところです。
HPLCの原理を学ぶための一冊というより、
「実際にHPLCを使うようになってから読む本」
という位置付けがおすすめです。
【中古】 液クロを上手につかうコツ—誰も教えてくれないノウハウ
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こんな人におすすめ
● HPLCを日常的に使用している人
● 基本操作はできるようになった人
● 実務上のノウハウを身につけたい人
4.ちょっと詳しい液クロのコツ(分離編)
HPLCをある程度使えるようになると、
「どうしてこのピークは分離しないのだろう?」
という問題にぶつかります。
そこで役立つのが、
『ちょっと詳しい液クロのコツ(分離編)』
です。
HPLCの大きな目的の一つは、目的成分と他の成分を適切に分離することです。
そのためには、
● カラム
● 移動相
● pH
● 有機溶媒
● 温度
● 流量
など、さまざまな要素を考える必要があります。
試験法どおりに測定するだけの段階から一歩進んで、
「なぜこの分析条件なのか」
を考えられるようになるために役立ちます。
特に、試験法の検討や分析条件の変更、分析トラブルの原因調査などに関わるようになった人には参考になると思います。
こんな人におすすめ
● ピーク分離について詳しく学びたい人
● 分析条件を検討する機会がある人
● HPLCをもう一段深く理解したい人
5.ゼロから学ぶ分析法バリデーション
製薬会社でHPLCを使用するのであれば、
『ゼロから学ぶ分析法バリデーション』
もおすすめです。
HPLCそのものの入門書ではありませんが、製薬会社の分析業務では、
「HPLCで測定できる」ことと「その分析法が目的に適していることを証明する」ことは別の話
です。
分析法バリデーションでは、
● 真度
● 精度
● 特異性
● 直線性
● 範囲
● 検出限界
● 定量限界
などを評価します。
HPLCの操作を覚えたあとにこの考え方を学ぶことで、
「なぜこの試験を行っているのか」
「なぜこの条件で適否を判断しているのか」
という分析業務全体への理解が深まります。
製薬会社のQCや研究開発などで分析を担当する人には、特におすすめしたい一冊です。
ゼロから学ぶ 分析法バリデーション[本/雑誌] / 香取典子/著
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こんな人におすすめ
● 製薬会社で分析業務を担当する人
● HPLCの操作から一歩進んで分析法について学びたい人
● 分析法バリデーションを初めて担当する人
HPLC初心者ならどの順番で読む?
5冊すべてを最初から読む必要はありません。
これからHPLCを始める人なら、
①液体クロマトグラフィーを使いこなす
↓
②液クロ虎の巻
↓
実際にHPLCを操作
↓
③液クロを上手につかうコツ
という流れがおすすめです。
さらに業務内容に応じて、
分析条件や分離を考えるなら
→ ちょっと詳しい液クロのコツ(分離編)
製薬会社で分析法そのものを理解したいなら
→ ゼロから学ぶ分析法バリデーション
へ進むとよいと思います。
本だけでなく、実際のクロマトグラムを見ることも大切
HPLCは本を読むだけですべて理解できるものではありません。
実際に分析を行いながら、
「なぜこのピークが出たのか」
「なぜ保持時間が変わったのか」
「なぜ圧力が上がったのか」
と考え、本で確認することを繰り返すことで理解が深まります。
特にトラブルが起こったときは、HPLCを理解する良い機会でもあります。
このブログでも、HPLCについていくつか記事を書いています。
● HPLCとは?原理を簡単に解説
● HPLCでのゴーストピーク|原因と対策
● HPLCトラブル|ピークが検出されない原因
● HPLCやりがちミス|移動相編
本で基礎を学びながら、こちらも参考にしていただければと思います。
まとめ
今回は、HPLC初心者におすすめの本を5冊紹介しました。
まず原理を理解するなら
『液体クロマトグラフィーを使いこなす』
幅広い疑問を調べるなら
『液クロ虎の巻』
実務上のノウハウを学ぶなら
『液クロを上手につかうコツ』
分離について深く学ぶなら
『ちょっと詳しい液クロのコツ(分離編)』
製薬会社の分析業務まで理解するなら
『ゼロから学ぶ分析法バリデーション』
がおすすめです。
HPLCは、最初は難しい用語が多く取っつきにくく感じます。
しかし、原理と実際の分析を結びつけて理解していくと、トラブルが起きたときにも「何を確認すればいいのか」を考えられるようになります。
これからHPLCを担当する方は、まず自分のレベルや業務内容に合った一冊から始めてみてください。




