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製薬会社に入社すると、大学までの勉強とは少し異なる知識が必要になります。
例えば、
・GMPとは何か
・なぜ記録を残さなければならないのか
・品質管理と品質保証は何が違うのか
・HPLCなどの分析機器をどう扱うのか
・錠剤やカプセルはどのように作られるのか
・試験結果や製造データをどう評価するのか
など、配属されて初めて学ぶことも少なくありません。
しかし、製薬業界の専門書は種類が多く、価格も比較的高いため、どれから読めばよいか迷いやすいと思います。
私は原薬・後発医薬品メーカーの品質部門で約15年間働いてきました。その経験を踏まえて、今回は製薬会社の新人におすすめしたい本を7冊紹介します。
すべてを読む必要はありません。まずはGMPの入門書を1冊選び、その後に自分の配属先に合った本を読むのがおすすめです。
先に結論|配属先別のおすすめ
製造、品質管理、品質保証、研究開発では、必要となる知識が少し異なります。
迷った場合は、次のように選んでみてください。
・製薬会社の新人全般
→『ゼロから学ぶGMP 第2版』
・QCや分析部門に配属された人
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
・HPLCを担当する人
→『液体クロマトグラフィー』
・試験法やバリデーションを担当する人
→『ゼロから学ぶ 分析法バリデーション』
ゼロから学ぶ 分析法バリデーション[本/雑誌] / 香取典子/著
- 価格: 6600 円
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・製造部門や製剤開発に配属された人
→『基礎から学ぶ製剤化のサイエンス 』
- 価格: 4950 円
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・品質データや工程能力を扱う人
→『ゼロから学ぶ医薬品品質統計』
・QAとして省令や事例集を確認する人
→『医薬品GQP/GMP解説 2023年版』
最初から7冊すべてを購入するのではなく、現在の業務で必要な1~2冊から始めれば十分です。
1.ゼロから学ぶGMP 第2版
製薬会社の新人が最初に読む本としておすすめしたいのが、『ゼロから学ぶGMP 第2版』です。
GMPとは、医薬品を一定の品質で製造するための製造管理及び品質管理の基準です。
製薬会社では、製造部門だけでなく、品質管理、品質保証、技術、研究開発など、多くの部門がGMPと関係します。
本書ではGMPの基礎的な考え方に加えて、仮想の査察事例も取り上げられています。
単に規則を覚えるだけでなく、
「なぜこの対応が必要なのか」
「査察官はどこを確認するのか」
「記録や手順に何が不足しているのか」
を考えながら学べるのが特徴です。
GMP省令や通知をいきなり読んでも、初めての人には難しく感じられます。まず本書で全体像をつかんでから、必要な省令やガイドラインを確認すると理解しやすくなると思います。
こんな人におすすめ
・製薬会社に入社したばかりの人
・GMPの全体像を学びたい人
・製造、QC、QAに配属された人
・GMP教育を受けてもよく理解できなかった人
2.すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務
QCや研究開発など、分析業務を担当する新人におすすめしたい一冊です。
分析化学の本には、理論や計算を中心に説明した教科書も多くあります。
一方、本書は分析の基礎だけでなく、前処理、分析手法の選び方、器具や機器の扱い、記録の作成など、実務を意識した内容になっています。
分析業務では、装置の操作方法を覚えるだけでは十分ではありません。
・試料を正しく採取する
・適切に秤量・希釈する
・コンタミネーションを防ぐ
・測定条件を確認する
・結果と操作を記録する
といった一連の作業が、試験結果の信頼性につながります。
大学で化学を学んでいても、実際の試験業務に不安がある人に向いています。
こんな人におすすめ
・QCや研究開発に配属された人
・初めて分析業務を担当する人
・試料調製や前処理の基本を学びたい人
・分析記録の考え方を知りたい人
3.液体クロマトグラフィー
製薬会社のQCでは、HPLCを使用する機会が多くあります。
しかし、操作手順だけを覚えていると、圧力上昇、保持時間の変動、ピーク形状の異常などが起きたときに、原因を考えるのが難しくなります。
『液体クロマトグラフィー』は、HPLCの基本原理と実際の分析の両方を学べる本です。
装置構成や分離の考え方だけでなく、実際に分析する際に知っておきたいポイントもまとめられています。
HPLCは、試験方法どおりに操作すれば必ず正常な結果が得られるわけではありません。
カラム、移動相、流量、温度、試料溶液など、複数の要因がクロマトグラムに影響します。操作を覚え始めた段階で原理も一緒に学ぶと、トラブルへの対応力を身につけやすくなります。
こんな人におすすめ
・製薬会社のQCに配属された人
・初めてHPLCを操作する人
・HPLCの原理から理解したい人
・分析トラブルの原因を考えられるようになりたい人
関連記事
・HPLC初心者におすすめの本5選
https://semiritasan.hatenablog.com/entry/2026/09/05/131033
・「液体クロマトグラフィー」のレビュー
https://semiritasan.hatenablog.com/entry/2024/12/22/151949
4.ゼロから学ぶ 分析法バリデーション
HPLCなどの操作に慣れてきた人に、次の一冊としておすすめしたい本です。
分析法バリデーションとは、使用する分析法が、その目的に適していることを科学的に確認することです。
製薬会社では、
・真度
・精度
・特異性
・直線性
・範囲
・検出限界
・定量限界
などを評価します。
新人のうちは、決められた試験方法に従って測定することが中心かもしれません。
しかし、分析法バリデーションを学ぶことで、
「なぜこの試験条件なのか」
「なぜこの項目を評価するのか」
「この分析結果はどこまで信頼できるのか」
という視点を持てるようになります。
本書はタイトルどおり、分析法バリデーションを基礎から学びたい人に向いています。
こんな人におすすめ
・製薬会社のQCや研究開発に配属された人
・分析法バリデーションを初めて担当する人
・試験法設定や技術移管に関わる人
・HPLC操作から一歩進んで学びたい人
ゼロから学ぶ 分析法バリデーション[本/雑誌] / 香取典子/著
- 価格: 6600 円
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5.基礎から学ぶ製剤化のサイエンス
製造部門、製剤開発、技術部門に配属された人には、『基礎から学ぶ製剤化のサイエンス 第4版』がおすすめです。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤などが、どのような考え方で設計・製造されているのかを基礎から学べます。
例えば錠剤の製造では、単に原料を混ぜて圧縮しているわけではありません。
原料の性質、粒子径、水分、混合、造粒、打錠、コーティングなどが、製品の品質に影響します。
製造手順だけを見ていると、一つひとつの工程が必要な理由を理解しにくいことがあります。
製剤学の基礎を学ぶことで、
「なぜこの工程があるのか」
「この条件が変わると品質にどう影響するのか」
「どの工程が重要なのか」
を考えやすくなります。
製造部門だけでなく、変更管理やバリデーションを担当するQAにも役立つ本です。
こんな人におすすめ
・医薬品の製造部門に配属された人
・製剤開発や生産技術を担当する人
・錠剤やカプセルの作り方を基礎から学びたい人
・変更管理やバリデーションを担当するQA
- 価格: 4950 円
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6.ゼロから学ぶ医薬品品質統計
製薬会社では、多くの場面で数値を扱います。
例えば、
・試験結果のばらつき
・工程能力指数
・安定性試験の傾向
・分析法バリデーション
・プロセスバリデーション
・製品品質の照査
・抜取検査
などです。
平均値や標準偏差を計算できても、それだけでデータを正しく評価できるとは限りません。
『ゼロから学ぶ医薬品品質統計』は、一般的な統計だけでなく、医薬品の品質管理で統計をどのように使うかを学べる本です。
新人が最初からすべてを理解する必要はありませんが、QC、QA、製造技術、研究開発などでデータ評価を担当するようになったときに役立ちます。
基礎的なGMPや日常業務を覚えた後、もう一段専門性を高めたい人に向いています。
こんな人におすすめ
・QCやQAで品質データを扱う人
・バリデーションを担当する人
・工程能力や製品品質の照査に関わる人
・医薬品業務に沿って統計を学びたい人
7.医薬品GQP/GMP解説 2023年版
品質保証部門に配属された人が、手元に置いておきたい実務的な資料です。
GQP省令、GMP省令、関連通知、GQP・GMP事例集などを、業務中に確認しやすい形でまとめています。
ただし、内容も価格も本格的であるため、製薬会社の新人全員が最初に購入する本ではありません。
まずは『ゼロから学ぶGMP 第2版』などでGMPの全体像を学び、その後、実際の業務で省令や事例集を確認する必要が出てきた段階で検討するのがおすすめです。
QAでは、社内手順や過去の運用だけで判断するのではなく、その根拠となる省令、通知、事例集まで確認する場面があります。
そのため、品質保証の実務を続けるのであれば、長く使える一冊になると思います。
こんな人におすすめ
・品質保証部門に配属された人
・GQP省令やGMP省令を確認する機会が多い人
・GMP事例集を実務で活用したい人
・社内手順の根拠を調べる必要がある人
新人はどの順番で読めばよい?
製薬会社の新人が、最初から専門書を何冊も読む必要はありません。
おすすめの順番は次のとおりです。
最初の1冊
『ゼロから学ぶGMP 第2版』
次に配属先に合わせて選ぶ
QC・分析部門
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
→『液体クロマトグラフィー』
製造・製剤部門
→『基礎から学ぶ製剤化のサイエンス 第4版』
QA
→『医薬品GQP/GMP解説 2023年版』
試験法やバリデーション担当
→『ゼロから学ぶ 分析法バリデーション』
統計やデータ評価を担当
→『ゼロから学ぶ医薬品品質統計』
まず仕事の全体像をつかみ、その後に担当業務で困ったことを本で調べる方が、知識を実務と結び付けやすくなります。
本だけですべてを理解しようとしなくてよい
製薬会社の仕事では、本に書かれている一般的な知識だけでなく、会社ごとの手順や製品ごとの特徴も理解する必要があります。
そのため、本を読んだだけで仕事ができるようになるわけではありません。
一方で、本で基礎を学んでおくと、
・なぜこの手順が必要なのか
・先輩は何を確認しているのか
・トラブル時にどこを調べればよいのか
・社内手順の背景にどのような考え方があるのか
を理解しやすくなります。
実際の業務、社内教育、先輩への質問、専門書による学習を組み合わせることが大切です。
まとめ
今回は、製薬会社の新人におすすめの本を7冊紹介しました。
製薬会社の新人全般
→『ゼロから学ぶGMP 第2版』
分析業務の基礎
→『すぐ身につく 分析化学・機器分析の実務』
HPLCの基礎と実務
→『液体クロマトグラフィー』
分析法の信頼性
→『ゼロから学ぶ 分析法バリデーション』
製剤と製造工程
→『基礎から学ぶ製剤化のサイエンス 第4版』
品質データの評価
→『ゼロから学ぶ医薬品品質統計』
QAの実務資料
→『医薬品GQP/GMP解説 2023年版』
すべてを一度に購入する必要はありません。
まずはGMPの全体像を学べる一冊と、自分の配属先に関係する一冊を選ぶのがおすすめです。






