インバース PCRについてまとめてみました。
PCRの基本的な原理は以下の記事でまとめていますので、合わせて読んでいただければと思います。
DNAは5’から3’方向に伸長する性質を持っています。
PCRでは、増幅したい領域を挟むようにプライマーを設計し、プライマー間の領域を特異的に増幅します。そのため、PCRを実施するには、対象領域の塩基配列がある程度既知である必要があります。
未知のDNA領域を増幅するための手法の一つにインバースPCRがあります。
通常のPCRでは、プライマーを内向きに設計しますが、インバースPCRでは外向きのプライマーを使用します。ただし、外向きプライマーでは目的領域を直接挟み込むことができないため、鋳型DNAに対して工夫が必要です。
その工夫とは、以下の手順を踏むことです:
- 鋳型DNAを制限酵素で断片化する。
- 断片化したDNAをDNAリガーゼを用いて結合し、環状DNAを作成する。
環状DNAを鋳型とすることで、外向きのプライマーで伸長反応を進めても、DNAが環状構造を持つため反対側の領域でプライマー間の配列を編み込むことが可能になります。
このように、インバースPCRを利用することで、未知のDNA領域を効率的に増幅することができます。